こんにちは。ジャマイカのフルタ(@Furuta_Jamaica)です。
2016年はピコ太郎さんの飛躍の年となりました。PPAP。
特に何が面白いのかはわからないのにも関わらず、何か覚えちゃう魔法の言葉。
そして、2017年。
今年は、私フル太郎が「CPAS」を流行らせようと思います!ジャマイカで。
CPAステップって何?
ジャマイカでは算数の指導法、特に低学年の指導において大事にされている考え方があります。それが、
CPA-step
ステップというだけあって、指導するときにこの段階に沿って教えていきましょうという手順です。
CPAの意味はこんな感じ
- C→Concrete:具体物
- P→Pictorial:絵や図
- A→Abstract:抽象(数字や文字)
この3ステップを踏んで教えていくことが大事なようです。
どうして大切なのか?どのように教えたらいいのか?をジャマイカでの実際の授業を参考に見ていきましょう。
一年生の数の分解の授業で見てみる
僕が今ジャマイカの先生たちと実践しているのは、数の分解の授業。
さくらんぼ計算にもつながりますし、多様な数の捉え方のために大切なところです。
例えばこんな感じ。
5は2といくつですか?3です。
このように、「一つの数を2つに分ける」ということができるようになってほしいわけです。
びっくりするくらいできない
先生が、こんな感じで問題を提示しますが最初はびっくりするくらいできません。
「4!」「9!」「10!」などいろんな答えが上がり、途中から数字を言いまくるゲームに変わりました。笑
なぜできないか
一番の理由は、この問題の意味を生徒がかみ砕けていないことだと思いました。
5を2つにわけるよ、ということを伝えてはいるんだけどその具体的な操作をイメージできていない。
9や10などの答えが出るのはその証拠ですよね。
また、それを理解できている子でも、5がどれくらいの大きさなのかを感覚的にイメージすることができず、戸惑っているようでした。
具体的な状況をイメージし、数の量的感覚を養うにはどういうアプローチをすればいいか?
そこで必要なのが、具体物操作です。
授業の中のCPA
C:ブロックの具体物操作で意味を掴む
いきなり抽象的な数字だけの問題を提供すると、生徒が問題の状況を掴めず、また答えをイメージすることができないことが分かりました。
というわけで、生徒にまずは体験してもらおうと。
こんな感じで、5個のブロックを1個と4個にポキッと分けてもらいました。
こうすることで、問題の意味を子どもたちも理解してきます。
分けているんだから、分けた後の数が5より大きくなることは無いんだね。
5は、3と2という風にも分けることができるね。
時間をかけてみっちりと体験してもらいました。
P:具体から抽象への橋渡し
よし!いざ数字へ!と行きたいところですが、まだ具体的なイメージと数字という抽象的なものがリンクされていないと感じたのでプリントをやってもらいました。
こんな感じの問題をやってもらいました。
考えていることはさっきのブロックと変わらないんだけど、さっきみたいにポキッと分けたりすることはできません。
そうなると、こうやって図に丸を書いて分かりやすくしたりする子ができてきますね。
さっきは手の中で実際に行った具体的操作を、今度は図に書き込むという形で行っているわけです。またその右で、それを数字に変換します。
これらを通して、C(具体)の段階をA(抽象)につなげる階段を作ったつもりです。
A:数字だけで計算できる
さあ!いざ勝負!彼らは上手に抽象のステージへと進むことができたのか??
具体物や図を見せることなく、最初の数字だけの問題を見せ先生が聞きます。
先生「Five is two and?」
生徒「・・ス、スリ~~~・・・?」
半分くらいの子どもたちがかすれた声で、自信なさげに答えてくれました。笑
うーん。まだまだクラス全体には浸透しきっていないみたいです。
まあ算数は積み重ねです。みんなでこつこつ頑張ろう!
実際の授業の様子はこんな感じ
What is the CPA step?
この授業では、数だけのフラッシュカードの前に、PICTORIAL(図)のバージョンのフラッシュカードを入れて、より生徒が抽象に移行できるようにしてみました!
具体物は本当に必要なのか?
こんな感じで、CPAステップも考えながらジャマイカの先生と一緒に授業を構成しています。
先生たちもこのCPAステップのことは元々知っていましたし、他の学校の先生も意識している先生もいました。
ただ、半年色んなジャマイカの先生を見ていて少し引っかかったのは、なんのために具体物を操作するのか?ということを先生たちがよく理解していないということ。
今回の授業の例で挙げたように、「問題の状況と抽象的な数字を結びつける」ために具体物を使うのであって、具体物を使うことが目的なわけではないわけです。
なんなら、生徒たちが抽象的なステップをいきなりできてしまったら、具体物なんか使わなくていいんですね。
ジャマイカの先生の中には、「具体物を使うこと」が目的になっている人が多く、それを抽象につなげる指導があまりありません。
今回の授業で言えば、
ブロックを2と3に分けた
→それを図で表す
→数字で表す
この流れを生徒に気付かせて初めて
ここがつながってくると思っています。
ジャマイカの先生はこの間の矢印がぶつ切りで、具体物操作をしたら、「はい、数字行きましょー」って感じで具体と抽象が混ざり合う部分がない。
先生としては、つなげているつもりなんだろうけど、生徒の中には全く違う問題をやっているようなイメージの子さえいると思います。
そう意味では、今回の先生たちは本当にうまくやってくれました。本当にいい先生たちを見つけられて、幸せ者です。
この先生たちと、具体・抽象を「ハアァッ!」とくっつけられるように頑張ります。
まとめ
ジャマイカではCPAステップという、抽象的理解を深めるための大切な手順がありました。
ただ、「具体と抽象をつなげる」という一番大切なところにカイゼンのポイントがありそうだということが分かりました。
今回の授業では、先生たちが本当に上手にやってくれてうまくつなげられましたが、それでも生徒の理解は完璧じゃない。
積み重ねて頑張ります!
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