数え足しvsさくらんぼ計算!小学一年生の足し算は10のかたまりで教えよう。

 

こんにちは、フルータ(@Furuta_Jamaica)です。ジャマイカで学習塾をやっています。

 

よく一年生のお子さんを持つ保護者から、「さくらんぼ計算って分かりにくい!数え足しでいいじゃん」という言葉を聞きます。

確かに、大人からすると簡単な足し算を日本の小学校の教科書では「さくらんぼ計算」という指導方を使って作られていて、一見ややこしくも見えます。

 

ですが、これまでジャマイカという日本より教育環境の整っていない場所で4年教えてきて確信したことがあります。

それは、「さくらんぼ計算は必要」ということ。いや、正確には「10のまとまりを使うことが必要」といった方が良いかもしれません。

 

というわけで今日は、なぜさくらんぼ計算や10のまとまりが大切なのか、そして繰り上がりの足し算の教え方はどうすればいいのかについて考えていきたいと思います。

 

 

10のまとまりを使った繰り上がり足し算の教え方

 

 例えば8+5であれば、

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このように計算します。ただこれだけではもちろん子どもは理解することができません。

大人は抽象的な数字だけで何が起きているのかを理解できますが、まだ具体と抽象の概念が結びついていないからです。

 

だからこそ、具体物操作が大切です。

子どもたちは以下のような操作を具体物を使って繰り返すことで、この計算で実際に何が起きているのかを概念的に学びます。

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このように、10のまとまりを作る操作を繰り返し行う中で、具体的なイメージと紙面上での計算が結びついてくるんです。

この具体物の経験を通して初めて、以下の計算の意味が理解できるようになるわけです。

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逆に言うと具体物操作の中で意味をしっかりと理解できている子どもには、とても簡単で分かりやすい方法になっていると思います。

 

数え足し・数え引きはいけないの?

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ジャマイカでは指を使って一つずつ数えていく、いわゆる「数え足し」「数え引き」が主流のやり方になっています。

大きな理由は、伝統的にそれが教え続けられていること、そして算数ブロックのような教材が無いため具体物操作ができず10のまとまりを理解できない、という事があります。

 

しかし、足し算引き算の計算に絞ってみれば、数え足し数え引きはそこまで悪い指導法ではありません

早く習得することができますし、計算のスピードはむしろ速くなるかもしれません。

 

ただ、数え足しで学んでいるジャマイカの子どもたちを見てきて強く感じていることがあります。

それは、数え足しだとその後に大切になる「数感覚」を養うことができないということです。

どういうことか見てみましょう。

 

数え足しの何がいけないのか

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こんな感じかな。一つずつ増えていくイメージ。まあシンプルなので、数さえ数えられれば誰でも答えを出すことができます。

 

しかし問題は、5や10などのまとまりを意識する必要がなくなってしまう、という事です。

数え足しでは数えられれば答えが出せるので、具体的な量の多さや位取り、区切りなんかは考える必要なんてないんです。

 

これがジャマイカの子どもたちのその後に渡る「数感覚の低さ」の大きな要因になっています。

10と3がくっついて13になっている。10が4個と1が7個で47個になっている。

特にこういう位取りの感覚を持てていない子どもたちが、ジャマイカにはたくさんいます。

 

数え足しの手軽さ・教えることの簡単さが、結局その後に数の理解の低さとなって子どもたちの肩にのしかかっているということなんです。

 

数を多様にとらえる数感覚

数って、もっと、「分け」たり「増やし」たり「くっつけ」たり「取っ」たり「足りない数を見つけ」たり色んな捉え方が必要なはずです。

 

例えばという数は、7の次の数で9の前の数です。でももっと色々な見方ができます。

「4つが2セット」かもしれないし、「2つが4セット」かもしれない。

10まであと2の数とも見れるし、一辺が2の立方体の体積も8になる。

8歳の子は、5本の指と3本の指を見せるでしょう。

 

つまり、8という数は色々な形として見ることができるんです。

でも数え足し・数え引きでは、「7の後」か「9の前」という感覚しか必要ないんですね。

 

つまり、数え足しをやること自体に問題があるという事よりも、数え足しでは数を多様に捉える感覚を養うことができない。ということに問題があるんじゃないかと僕は思っています。

 

 

まとまりを作る大切な教え方

ジャマイカでこの「まとまりを作る」ことの重要性を感じた僕は、ジャマイカの先生と共にその練習を始めました。

最初はもちろん全く上手く行かず、何度も何度も子どもたちに具体物操作をしてもらいました。

 

日本の数図ブロックのようなものを現地の木工業者にお願いをして作って貰ったりもしました。

こういった具体物操作を何回も何回も繰り返す中で、子どもたちも「あといくつで10になるかな?」とか「5を分けたらいくつ残るかな?」と考えて数を上手に使うことができるようになっていきました。

 

その結果、始めは全然理解していなかったジャマイカの子どもたちが、すらすらとさくらんぼ計算をし始めました。

 

この実践を通して、「具体物操作の大切さ」をひしひしと感じました。

 

もしあなたのお子さんがさくらんぼ計算を上手にできていなければ、焦らず、一度具体物に戻ってみてはどうですか?

確かに数えて足せば簡単かもしれません。でも、もっと長い目で見てじっくり基礎から作り直してあげて欲しいとおもいます。

 

まとめ

ジャマイカのほとんどの学校の先生が教える数え足しでは、位取りや繰り上がり繰り下がりにつながる大切な数の感覚を養うことが難しいんじゃないか、ということが見えてきました。

 

10のかたまりで教えるのは少し根気がいりますが、頑張りましょう!

僕もジャマイカの子どもたちができるようになるまで、しぶとく頑張ります!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

 

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